堕落していくその日まで

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しゃけスピンオフ)白球編1 〜ばあちゃん〜

カァァァーン!!

 

 

 

『うわっ、コレいったで。入るわコレ。入ったー!ほれほれ、さすが自慢の孫やー!』

 

 

 

 

「ばあちゃん、またそれ見てんの?」

 

 

 

『いや、だってアンタがめちゃ打つから』

 

 

 

「そりゃ打つわ。俺が打ったとこ何回も巻き戻して見てるんやから俺かて毎回打つわ」

 

 

 

『もっかい巻き戻して見よ。コレのええとこはな、いっちゃん最初に巻き戻してスッと見れるとこや。最初のオッサンらの会話は余計やけど。あと、もっと贅沢言うたらプロ野球みたいにキレイな映像と見やすい角度で見れたら最高なんやけどなぁ』

 

 

 

「高校の大会とかやったらローカルやけどテレビで見れるんちゃうかな。ほな俺勉強に戻るで」

 

 

 

『ばあちゃんと一緒に見ようやぁー。な?一回だけでええから。ほな再生』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カメラはこのへんでえんやろか?

 

おぉ、そのへんでええやろ。ちゃんと充電もしてきたしバッチリやで。

 

なんせ3年生にとっては中学最後の大会やもんなぁ。しっかり撮ったらんと。

 

しっかし、キャプテンもくじ運がええんか悪いんか。なんでよりにもよって春にコールド負けしたとこと初戦から当たるかねぇ。

 

相手のあのおっきい右のピッチャーから1点も取れんかったしなぁ。ヒット2本もしゃけくんしか打ってへんし。

 

おっ、噂をすればしゃけくんのお父さん来たで。

 

お疲れ様ですっ、いやぁ暑いですねぇ。

 

ホンマめちゃめちゃ暑い。50℃ぐらいあるんとちゃいます?今日は前回このピッチャーから2本もヒット打った息子さんに期待してますよー。

 

 

いや…それなんですけどね。言うてええんかな。なんや今日はヒット打った左やのうて右で打つ言うてましたわ。

 

右で?なんでですのん!スイッチなんやから左で打ったらいいですやん。相手右ピッチャーですし。

 

ワタシもそれ言うたんですけどね。なんやコールド勝ちして調子のっとるやろうからなめくさったピーの出鼻くじいたる!とか鼻息あろうして言うてましたわ。

 

 

あっ、そろそろ始まりますよ!ウチは先攻みたいですね。早速しゃけくんの打席や。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フワァァァァァァァァァーン

 

 

 

『オッサンらの声も聞き飽きたわホンマ。

この試合開始のサイレンが鳴り止む前にピッチャーが振りかぶって投げるとこもええし』

 

 

 

 

 

 

カァァァーン!!

 

 

 

 

 

 

『それを初球からフルスイングでホームラン打つとこもばあちゃんは好きなんや。プレイボールホームランいうやつ』

 

 

 

 

「俺も家で1〜2回は見たけどまさかこっちに来てからこんなに見ることになるとは思ってなかったで」

 

 

『引越しの段ボールに入ってたビデオテープをばあちゃんに見つかったんが運の尽きやな。で、この試合どっちが勝ったん?』

 

 

「なんでそんな腐るほど見てんのに最後まで見てないねん!もう俺勉強すんで、受験や受験」

 

 

『勉強もええけどアンタこっち来てから友達できたん?』

 

 

「できるわけないやろ!こんなくそ寒くて受験前のピリピリした時期に、転校生のしゃけでーすよろしくー言うたところでみんな受験とうどんのことで頭いっぱいや」

 

 

『うどんちゃうわ!うどんの天ぷら何にしようかなーや』

 

 

「どっちでもええわ!俺もう寝るで!」

 

 

『勉強せぇ!』

 

 

「するわっ!もともとできとるんじゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スクリーンに映し出される写真の数々。

 

遠足、運動会、文化祭、修学旅行。

 

在校生からの送辞、卒業生からの答辞。

 

完全にハゲてる校長からのありがたい言葉。

 

涙を堪える同級生もいたし、それを見てウルっときている人もいた。

 

 

 

でも自分は何も感じない。何の思い出もない。

 

 

ありがたいことに受験をともに乗り越えたことで数人の友達が出来た。

 

生まれて初めて手に入れた携帯電話で連絡先を交換し、まっすぐばあちゃんの待つ家に帰った。

 

 

 

「ばーちゃーん、よそもんでもちゃんと卒業証書もらえたで…」

 

 

 

カァァァーン!

 

 

『また打った!』

 

 

 

「どんだけ見んねん」

 

 

 

 

 

つづく?