堕落していくその日まで

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しゃけスピンオフ)白球編3 〜新入生〜

入学式後のホームルーム。

 

先生が来るまでの教室内は自由なおしゃべりタイムとなっていた。

 

 

 

ねえねえ何中?

部活はどうすんのー?

私もう吹奏楽部に入るって決めとるけん。

 

 

 

学力で正面から入学したとはいえ、勧誘?のようなものがキッカケだったため、そのあたりをベラベラ喋るのは控えた方がいいだろう。

 

 

地元民に溶け込み、関西のニオイを消す。

 

 

 

『しゃけくんは野球部に入るん?』

 

 

隣席の女子が話しかけてきたが冷静に対処。

 

 

「なんで野球部って分かったん?制服に背番号でも書いてた?」

 

 

 

『そんな坊主頭でシュッとした眉毛しとったらだいたい野球部やけん。ほんで関西の人なん?』

 

 

 

 

5秒ももたずにバレた。

どうやらイントネーションのクセがすごいらしい。

 

昔、ちょっとだけ関西にいたとかテキトーな言い訳をして難を逃れることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入部初日

 

グラウンドで新入生の挨拶が始まった。

 

氏名、出身中学、ポジション、○投○打、目標を大声で言う軍隊形式のアレだ。

 

 

しゃけ太郎!○○中!センター!右投両打!

1年目の目標はたくさん試合に出ることです!!

宜しくお願いします!!

 

 

 

一年生20名の挨拶が終わったところで田岡監督からの話が始まった。

 

 

この監督は徹底的な効率主義で意味のないことが大嫌いらしく、実力のあるものは1年だろうがなんだろうがどんどん使っていくようだ。

 

有名大学で選手として活躍した経験を活かした技術指導が評判で、数年前から学力の伴う県内屈指の野球小僧がこの高校に集まるようになった…という話を同級生から聞いた。

 

 

(人数的にもちょうどええからまずは1年生を2つに分けてBグラウンドで紅白戦、それで選手の特徴やら適性を見ていく感じやろ。最初が肝心やからどんどんアピールしていかなあかんな)

 

 

 

 

『改めまして田岡です。監督としては3年目となります。知っての通り3ヶ月後には夏の予選が始まる。1.2年生は3年生のいいところをしっかり見て盗んでいってほしい。

 

2.3年生は書いてあるメニューの通り練習開始。

1年生は2チームに分かれて…ここに書いてある基礎練メニューAとBを交互にやるように』

 

 

 

はいっ!!

 

 

(キ…キソレンやと!?)

 

 

 

『あと、1年生は合間にこちらで用意した項目の体力測定を行うように。記録はマネージャーが取ります。その日の測定と基礎練が終わったものから順次キャッチボールに合流していくように。以上』

 

 

 

 

 

 

 

びっちりと書き込まれた基礎練メニュー。

ヘトヘトになりながら合間に遠投以外の体力測定を受ける。

 

活気あふれるメイングラウンドからは離れているが誰1人としてサボる者はいない。一切の無駄口も叩かない。

 

 

1年生が基礎練メニューを終えた頃、日没を迎えた。

 

 

(まぁ、ナイター設備もあるし時間的にもキャッチボールとなんかは出来るやろ)

 

 

集合っ!!

 

 

まさかの本日の練習終了である。

基本的にナイターは使わないらしい。

 

 

トンボと呼ばれるグラウンド整備の道具でホーム側からセンター側にかけて少しずつ黒土の内野部分をならしていく。

 

練習が終わりダウンを済ませ、扇形(センケイ)というこの整備作業に移るがトンボは人数分ない。

 

上級生に下っ端作業をやらせるわけにはいかないので、代わります!と言いにいくと

 

『お前、別にこのグラウンド使ってないやん』とかわされるのは当たり前で、コワイ先輩になると『ころすぞ』という4文字しか返ってこない。

 

 

とはいえ突っ立ってるワケにもいかないので、マネージャーさんのホウキ仕事を手伝う。

 

 

 

1週間が経った。

 

 

1年生20名は毎日基礎練地獄から抜け出せていないため、準備と片付け以外でボールを一切触れていない。

 

 

(何が効率主義で無駄なことは大嫌いや。しかも俺のこと誘いにわざわざ関西まで来たんとちゃうんかい。せめて別メニューとかいろいろあるやろ)

 

 

最後のホウキ仕事の時に耐えられなくなってマネージャーさんにこっそり聞いてみた。

 

 

 

「今の2.3年生も1年の時はずっと基礎練ばっかりやってきたから今はグラウンドですぐにアップ、キャッチボールの流れなんすかね?」

 

 

『え、ちがうよ?2.3年生も同じ基礎練メニューを今もやっとるけん。朝練でやけどね』

 

 

 

(くそっ!やられた!それやったらそう言ってくれよ…というのは甘い考えか)

 

 

 

2週目からは基礎朝練、放課後の練習でキャッチボールに参加。測定が出来ていなかった残りの項目もようやく終えられた。

 

 

基礎練をしながらポカンと口をあけてコチラのキャッチボールを見ている同級生も半数ほどいたが、既に競争は始まっているので誰も朝基礎練のことを教えたりしない。

 

 

見て盗め、つまりはそういうことだ。

 

 

 

3週目、ようやく1年生の紅白戦が実施されることになった。

 

2名退部していたので人数はギリギリだ。

 

 

体力測定の50m走で1年生最速の6.2秒、遠投も投手志望のヤツに次ぐ2位だった。

 

自分の得意とするポジションであるセンターの希望は間違いなく通るだろう。

 

 

 

 

 

監督からオーダーが発表された。

 

『とりあえず体力測定の結果とその他諸々の理由でオーダーを組みました。

 

Aチーム 1番キャッチャー しゃけ』

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

『返事は?』

 

 

「はっ、はい!!」

 

 

(なんで俺が鈍足の代名詞みたいなキャッチャーなんてやらなあかんねや。アンタも俺のダッシュ見とったやろがい)

 

 

 

『未経験ポジションのヤツもおると思う。ただしコチラが適性と感じたりいろいろな考えのもとで決めたことやから精一杯アピールしてほしい』

 

 

 

『あっ、あとしゃけ。お前、両打ちやったな?

もう右はええから、今日から打つのは左だけな』

 

 

 

 

 

 

はぁぁぁ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?